ご挨拶

長野県は素晴らしい自然に恵まれ、豊かな歴史と伝統を受け継いでまいりました。それらは東山魁夷画伯をはじめ、多くの芸術家に特別なインスピレーションを与えてきたことは皆様ご承知の通りです。しかしこれまでは、このような素晴らしい文化資源が必ずしも十分に活用され、県の活力の増進や、県民の幸せに結びついた訳ではありません。
文化芸術にはさまざまな力があります。それは個人に心の感動を表現し、他とそれを共有し、コミュニケーションを行う力を与えてくれます。またすべてのひとを社会に包摂する事で社会の連帯を深め、ひとりひとりに生き甲斐を与える力もあります。
さらに大きな経済効果を有します。文化芸術活動への投資が有する生産誘発効果は、決して公共事業に大きく劣るものではないばかりか、人々が充実した生活を送ることを可能にするという、数字にならない効果もあります。
加えて漫画やアニメなどの現代文化から、能や文楽のような古典文化、伝統工芸に至るまで、日本のイメージを向上する役割ももっていることが最近ますます明らかになってきました。
しかし最も重要な役割は、われわれを固定観念や既成概念から自由にしてくれること、および古来日本人が作り上げ、伝承してきたさまざまな知恵や教えを文化財という形でいまを生きる者に与えてくれることです。
今後は県内はもちろん県外のさまざまな文化施設との連携を深めながら、こうした文化芸術がもつ力が、県内に満ち溢れ、県民をしあわせにするモデル県となり、日本再生のリーディング県になるよう、微力を尽くす所存です。
県民の皆様のご理解とご協力をお願い致します。
理事長 近藤 誠一